テレビの分配器の役割…分波器・分岐器の違いと選びかた
みなさんは、引っ越した先などでテレビを設置する際に、壁面に設置されたテレビコンセント端子の数が足りなくて困ったことはありませんか?持ってきたテレビは2台。でも、家中を探しても、テレビコンセント端子は1つだけ……。そんなことになったら、困ってしまいますよね。
実は、1つのテレビコンセント端子から、2台のテレビを見られるようにする方法があります。それは、「分配器」という器具を使用するという方法です。この分配器、「聞いたことがない」という方も多いかもしれませんが、実はとても便利な機能を持っている器具なのです。
そこで今回は、「テレビ分配器とは何か?」「どんな分配器を選ぶのがよいのか?」などについてまとめてみました。複数のテレビを持っているのに、テレビコンセント端子が足りなくてお困りの方は、ぜひこの記事を参考にしてみてくださいね。
目次
▼テレビ分配器って? ―別々の部屋で見たいときに大活躍!―
テレビ分配器は、壁面にあるテレビコンセント端子から出ている電波を「均等に」複数に分けるという機能を持った器具です。ざっくり言えば、「ひとつのテレビアンテナ端子で、複数のテレビを見られるようにする器具」といったところでしょうか。
テレビ分配器は、テレビコンセント端子とアンテナケーブルの間に接続することで、テレビコンセント端子から送られてくる、テレビを見るための電波を複数に分けてくれます。コンセントの「たこ足配線」などをイメージすると分かりやすいかもしれません。
分配器を使うことによって、2台目のテレビを設置するために、わざわざ壁面にテレビコンセント端子の増設工事をする必要がなくなります。コンセント端子増設の費用を考えたら、分配器はとてもコスパがよく、便利でお得な器具なのです。分配器は、「夫婦で別のテレビ番組を見たいから、テレビが2台必要!」という場合にも大活躍します。
ただし、分配器は「電波を均等に分ける器具」であり、「電波を倍増する器具」ではありません。つまり、接続するテレビが増えれば増えるほど、1台あたりに届く電波は弱くなってしまいますので、テレビが映りにくくなることも考えられます。そうした場合は、「ブースター」と呼ばれる増幅器を設置するなどして、電波量を改善する必要があるでしょう。
なおテレビ分配器は、家電量販店やネット通販などで気軽に購入することができます。
▼よく似た「分波器」「分岐器」とはどう違う?
家電量販店の分配器売り場に行くと分かるのですが、実はテレビに使用する器具には、「分配器」と似た名前のものとして、「分波器」や「分岐器」と呼ばれるものがあります。あまり詳しくないと、分配器と間違えてこれらを購入してしまうこともあるので、きちんと違いを知っておくことが重要です。
この3つは、名前だけでなく見た目の形状もとても似ているのです。ここでは、「分波器」と「分岐器」のそれぞれの役割についてご紹介していきたいと思います。
◆分波器……テレビがちゃんと映らないときに有効
分配器が「テレビコンセント端子から送られてくる電波を、“均等に分ける”器具」だとすると、分波器は、「テレビコンセント端子から送られてくる電波を、“役割毎に分ける”器具」であると言えます。
通常、テレビには「地デジ(VHS)」と呼ばれるものと、「衛星放送(BSやCS)」と呼ばれるものがあります。本当は、この2つに関しては電波の種類が異なるため、別々に電波を受信する必要があります。
しかし、最近のマンションなどの集合住宅では、この2つをまとめていることが多いのです。この場合、テレビコンセント端子は1つになりますので、配線などが簡易にはなるものの、地デジと衛星放送の電波が混ざり合ってしまい、うまくテレビが映らないというトラブルが発生してしまうことがあります。
こうした事態を防いでくれるのが、分波器です。分波器をテレビコンセント端子とアンテナケーブルの間に接続することで、地デジの電波と衛星放送の電波を分けてくれるため、テレビがきちんと映るようになります。
◆分岐器……大型施設で複数の部屋に電波を供給したいときに有効
分岐器の機能は、分配器の機能と似ており、「複数台のテレビを見られるように、受信した電波を分ける」という役目を持つ器具です。ただ決定的に違うのが、分配器が「“電波を均等に分ける”器具」であるのに対し、分岐器は、「“メインの電波から、複数の電波を一定の割合で枝分かれさせる”器具」であるという点です。
具体的には、もともとの電波が100%であった場合、分配器のほうはそれを50%ずつに分けます。(電波を4つに分ける場合は25%ずつになります。)それに対して分岐器は、90%と10%といった具合に、分かれる電波量を調節することができるのです。
たとえば集合住宅などで、アンテナとテレビをつなぐケーブルの長さに各部屋でバラつきがあると、電波信号がうまく届かない部屋が出てきてしまうことがあります。そんな場合も、分岐器を使うと、電波量の調節によってこうしたバラつきをカバーできるため、各部屋で同じようにテレビを映すことができるようになります。
アンテナから遠ところにある部屋でも、アンテナから近い部屋と同じくらいの量の電波を受けることができるということです。
分岐器が家庭用に使用されることはあまりありません。一方、マンションなどの集合住宅では、均等割り振りの分配器を使って電波を分けると、各部屋の電波の出力レベルに差が生じてしまうことがあるため、分岐器が重宝されていることが多いようです。
▼【ここを見ればOK】失敗しない分配器の選びかた
家電量販店に行くといろいろなタイプの分配器が売られていますので、どれを買えばよいのか分からずに引き返してしまう方もいるかもしれません。そこで、ここからは失敗しない分配器の選び方についてご紹介していきましょう。
◆【4K/8K】対応しているものを選ぶべき
2018年12月から、衛星放送において、4Kや8Kの本放送が始まりました。こうした流れから、今後も高解像度放送がどんどん増えていくと考えられます。したがって、分配器も4K/8Kに対応した種類のものを選ぶようにしましょう。
4K/8Kに対応している分配器は、そうでないものと比較するとやや高額ではありますが、そうは言っても数百円~3,000円前後で購入できる商品です。そもそも分配器はめったに交換する必要のない器具であり、少なくとも購入後10年は使えます。
こういったことを考えると、買い替えのタイミングでは、初めから4K/8K対応のものを選んだほうが、今後4K/8Kテレビを購入した際に買い直す手間が省けるでしょう。
◆「ケーブル付属タイプ」と「分配器単体」どっちがおすすめ?
分配器には、「分配器単体」のものだけでなく、あらかじめケーブルが接続された「ケーブル付属タイプ」のものがあります。家電量販店などに行くと、この2つが同じ棚に並んでいることが多いため、どちらを購入すればよいのか悩んでしまう方もいるかもしれませんね。
「ケーブル付属タイプ」の場合、あらかじめケーブルと分配器が接続されているため、接触不良などが発生する可能性が低く、安定して電波を送ることができます。またケーブルを追加購入する必要がない点もメリットです。
一方で、もともとケーブルを持っている場合は、「分配器単体」を購入してもよいでしょう。「分配器単体」には、接続がしっかりしていないと電波が不安定になる可能性があるというデメリットがあるものの、ケーブルがついていない分、「ケーブル付属タイプ」のものよりも安く購入できるのです。
また、ケーブルそのものに不具合が生じた場合などは、ケーブルだけを交換すればよいという点も、「分配器単体」を選ぶメリットと言えます。
「ケーブル付属タイプ」と「分配器単体」、どちらを選ぶのかはお好みですが、手持ちのケーブルがない場合は、「ケーブル付属タイプ」を購入するのがお手軽かもしれません。
◆用途に合わせて「2分」「4分」、どれぐらい分けるか考える
分配器には、電波を2つに分ける「2分」のものと、4つに分ける「4分」のものがあります。「2分」のものを買うか「4分」のものを買うかは、1つのテレビコンセント端子でいくつのテレビを見たいのかによって選びましょう。
ただし、1つのテレビコンセント端子に対して、あまりにも多くのテレビを接続すると、テレビ1台あたりへの電波が弱くなってしまいますので、注意が必要です。
◆たくさん分配したいなら「ブースター」も忘れずに…
1つの分配器からたくさん分配してしまうと、テレビ1台あたりの電波が少なくなってしまいます。そこで、1つの分配器からたくさん分配したい場合は、別売りの「ブースター」というものを用意しましょう。この「ブースター」は、電波の増幅器であり、設置することで、弱い電波であってもテレビが映るようになります。
なお、ブースターには用途に応じていろいろなサイズや機能のものが販売されていますので、購入する際はきちんと用途を確認してから選ぶようにしましょう。
分配器を使う場合、電波が弱くなるのが通常ですので、あらかじめブースターを用意しておくと安心かもしれません。
▼どう付けたらいいか分からない…そんなときはプロにおまかせ!
さて、ここまでの記事で分配器や分岐器、分波器などについての理解が深まったとはいえ、いざ設置するとなると話は別です。せっかく家電量販店で買ってきた分配器を前に、「どう接続したらいいの?」と途方に暮れてしまっている方もいるのではないでしょうか?
そんなときはためらわず、すぐにプロにおまかせするのがおすすめです。プロの業者にお願いすれば、丁寧な作業で、スピーディに接続をおこなってくれるでしょう。一度お願いしてしまえば、今度接続する際には、以前接続してもらったときのことを思い出して、自力で接続することもできるかもしれません。
アンテナ工事などを請け負っている業者であれば、テレビの配線もおこなってくれることが多いので、ぜひ問い合わせてみましょう。
▼まとめ
さて今回は、「テレビ分配器とは何か?」「どんな分配器を選ぶのがよいのか?」などについてご紹介しました。分配器と分岐器、分波器の違いはご理解いただけたでしょうか?この3つは形状や名前が非常に似ており、間違えて購入してしまう方も多いので、ぜひ違いを覚えておいてくださいね。
複数のテレビを持っているのに、テレビコンセント端子が足りないがために「物置にしまったままだった。」という方がいましたら、ぜひこの機会に、分配器を利用して、もう1つのテレビも映るようにしてみてはいかがでしょうか?
この記事が、皆様の生活のお役に立てれば幸いです。
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